中国地方初のメガソーラー、全容現す 12月稼働目指す

〈メガソーラー〉 出力1メガワット以上の発電能力を持つ大規模な太陽光発電所。

1000キロワット=1メガワット

電気事業連合会(東京)によると、国内の電力会社が2月末現在で建設を公表しているメガソーラーは、北海道から沖縄まで全国21カ所。発電出力の合計は約99メガワットにのぼる。2011年5月13日

 

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中国電力(本社・広島市)が、福山市箕沖町の埋め立て地で建設を進める大規模太陽光発電所「メガソーラー」が、全容を現した。福島第一原発の事故を受け、菅直人首相がエネルギー基本計画を白紙に戻す方針を明らかにしたばかり。再生可能なエネルギーを生み出す中国地方初の施設で、送電線との接続工事や試験運転などを経て、12月からの稼働を目指す。

 「福山太陽光発電所」と命名され、発電出力は3メガワット。昨年10月に着工し、太陽電池パネル1万6544枚を並べるのに今月9日まで約4カ月かかった。パネルの総面積は、マツダスタジアム(広島市)約2個分の約4万5千平方メートルに及ぶ。

 メガソーラーは地球温暖化対策を目的に近年、全国で建設が進む。中国電力も2009年、福山市への建設を発表した。稼働すれば、一般家庭約1000世帯が1年間に使う電力量(約368万キロワット時)をまかなうことが可能。温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量も年間で約2100トン分減らせるという。

 発電所の敷地は、97年に電力需要の伸び悩みから計画を断念した火力発電所の予定地。全体で約20万平方メートルの広さがあり、さらに出力4メガワット分の太陽電池パネルを並べることができる。実現すれば計7メガワットの出力が期待できるが、増設は現時点で決まっていないという。

 担当者は「福山市は雨の少ない瀬戸内気候で日照条件がよい。二酸化炭素の排出など環境への負荷を減らすため、今後も新エネルギーの導入を進めていきたい」としている。

 中国電力は20年度までに、福山太陽光発電所を含め中国地方全体で計10メガワット分のメガソーラー建設を目標に掲げるが、同社の昨年3月現在の火力、水力、原子力の各発電所の総出力1万1986メガワットの0.08%にとどまる。メガソーラーの建設目標をさらに増やすかについて同社は「今のところ未定」としている。

【写真説明】広大な敷地にパネルが整然と並ぶ中国地方初のメガソーラー発電所(撮影・増田智彦)